認知症と痴呆症、物忘れにはどのような違いがあるのでしょうか。
本記事では認知症と痴呆症の違い、そして物忘れと認知症の見分け方や物忘れへの対処法を解説します。
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認知症と痴呆症の違い
- 認知症とはどのような病気ですか?
- 認知症とは、脳の神経細胞の働きが低下し、記憶力や判断力、理解力などの認知機能が持続的に低下する病気の総称です。単なる加齢による物忘れとは異なり、日常生活に支障をきたすレベルで認知機能が低下するのが特徴です。主な原因として、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などがあります。認知症は高齢者に多い病気ですが、若年性認知症のように65歳未満で発症するケースもあります。進行性の病気であり、早期診断と適切な治療とケアが重要です。
- 痴呆症と認知症の違いを教えてください。
- 痴呆症は、かつて認知機能の低下を指す医学用語として使われていました。しかし、「痴」という字が差別的な意味を含むとされ、2004年に厚生労働省が公的な呼称を認知症に統一しました。そのため、現在は痴呆症という言葉は医学的には使用されていません。そこで、認知症という用語が代わりに用いられるようになりました。
認知症と物忘れの違い
- 加齢により生じる物忘れとはどのようなものですか?
- 加齢に伴う物忘れは、脳の老化により記憶の一部を思い出しにくくなる現象です。しかし、ヒントを与えられると思い出せることが多く、日常生活に大きな支障をきたすことはありません。例えば、人の名前や置いた物の場所を一時的に忘れることがありますが、後で思い出せるのが特徴です。また、加齢による物忘れでは、新しいことを学ぶ能力は保たれ、時間や場所の認識も正常です。これは病気ではなく、加齢による自然な変化の一つです。
- 認知症と物忘れの見分け方を教えてください。
- 認知症の物忘れは、加齢による物忘れと異なり、記憶自体が失われるため、ヒントを与えられても思い出せないことが特徴です。例えば、食事をしたこと自体を忘れる、何度も同じことを質問する、置き忘れた物を誰かに盗まれたと思い込むなどの症状が見られます。また、時間や場所の認識が乱れ、約束を頻繁に忘れる、日常の手順が分からなくなる、判断力の低下がみられるなど、生活に支障をきたすようになります。
認知症の前兆症状とセルフチェック
- 認知症の前兆症状を教えてください。
- 認知症の前兆症状は、加齢による単なる物忘れとは異なり、日常生活に支障をきたすような変化が見られることが特徴です。代表的な前兆には、同じことを何度も尋ねる、物の置き場所を頻繁に忘れる、約束を忘れる、時間や場所の感覚が乱れるといった記憶障害が挙げられます。また、以前はできていた家事や仕事の段取りが分からなくなる、趣味や社会活動への関心が薄れる、突然怒りっぽくなるなどの性格や行動の変化も前兆となることがあります。
- 認知症のセルフチェック法はありますか?
- 認知症のセルフチェックには、簡単に行える方法がいくつかあります。例えば、以下のような項目に該当する場合は、注意が必要です。
・同じ質問を繰り返すことが増えた
・物の置き忘れが頻繁にあり、探し回ることが多い
・今日の日付や曜日が分からなくなることがある
・簡単な計算や買い物の支払いでミスが増える
・料理や掃除などの手順を忘れることがある
・外出先で道に迷ったり、帰り道が分からなくなったりする
・人付き合いが減り、趣味や興味が薄れてきた
これらの症状が継続する場合や複数当てはまる場合は、認知症の可能性があるため、医療機関での診察を受けた方が安心です。
物忘れがひどい場合にやるべきこと
- 最近物忘れがひどいのですが何科を受診すべきですか?
- 物忘れが気になる場合は、脳神経内科、脳神経外科、精神科、または認知症外来を受診しましょう。特に、日常生活に支障をきたすような物忘れが続く場合や、同じことを何度も繰り返し聞く、約束を頻繁に忘れる、時間や場所がわからなくなるといった症状がある場合は、早めの受診が望ましいです。病院では、認知機能検査やMRI・CT検査を行い、加齢によるものか、認知症や脳の病気が原因なのかを判断します。軽度認知障害(MCI)などの早期段階で適切な対応をすることで、進行を遅らせることも期待できます。
- 物忘れを改善するために自分でできることを教えてください。
- 物忘れを改善するには、生活習慣の見直しが重要です。十分な睡眠を確保し、バランスのとれた食事を心がけましょう。特に、青魚やナッツ類に含まれるオメガ3脂肪酸、緑黄色野菜に含まれる抗酸化物質は脳機能の維持に役立つ可能性があります。適度な運動も血流を促進し、脳の活性化につながります。ウォーキングや軽いストレッチを習慣にするとよいでしょう。さらに、読書やパズル、日記を書くなどの知的活動を行うことで、記憶力を鍛えることができます。
まとめ
認知症と加齢による物忘れは異なり、認知症は日常生活に影響を及ぼす認知機能の低下が特徴です。早期の兆候を見逃さず、セルフチェックを行い、気になる場合は医療機関を受診することが重要です。適切な診断と治療により、進行を遅らせることも可能です。また、生活習慣の改善や脳を活性化させる習慣を取り入れることで、認知機能の維持が期待できます。自身や家族の健康を守るためにも、早めの対応を心がけましょう。