認知症は歩き方が変わる?認知症の特徴と影響、認知症予防の歩き方について解説

認知症は歩き方が変わる?認知症の特徴と影響、認知症予防の歩き方について解説

認知症とは、脳や身体の病気が原因で、認知機能が障害され日常生活に支障をきたした状態です。実は、認知症の患者さんには歩き方にも変化がみられます。本記事では、認知症の患者さんの歩き方の特徴や転倒を未然に防ぐ対策、そして認知症の予防に効果的な歩き方について解説します。

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認知症による歩き方の変化と特徴

認知症では、歩行にも影響が出ることをご存知でしょうか。例えば、歩幅が狭くなり小刻みな歩行になる、すり足になる、最初の一歩が出にくい、バランスが不安定になるといった症状がみられることがあります。また、方向転換が難しく転倒することもあります。これらの歩行の変化は転倒や骨折、さらには寝たきりの原因となる可能性があるため注意が必要です。

さらに、認知症の原因によって特徴的な歩行のパターンが異なるため、医師が診断する際の重要な手がかりとなる場合があります。本章では、認知症にともなう歩行様式の変化とその理由について解説します。

認知症になると歩き方はどのように変わりますか?
一般的には、動作が遅くなり、歩行のリズムが乱れ、体幹や左右のバランスが崩れる傾向があります。注意力の低下により、周囲にぶつかりやすく、つまずきやすくなることもあります。その結果、転倒リスクが高まります。
認知症の原因となる病気の種類によっては、歩行の変化パターンに特徴があるものもあります。以下に、代表的な例を示します。

【レビー小体型認知症、パーキンソン病にともなう認知症】
歩幅が狭く小刻みな歩行、歩行開始時や方向転換時のすくみ足、突進歩行(歩き出すと止まれない)が特徴です。手拍子や目印を利用すると、歩きやすくなる場合があります。

【特発性正常圧水頭症】
足を開き気味にすり足、小刻みで歩くことが特徴です。手術治療により、歩行障害が改善する可能性があります。

【血管性認知症】
脳の損傷部位に応じて、運動麻痺による左右のバランスの崩れや、半側空間を認識しづらくなる症状がみられることがあります。また、小脳が損傷されると、狭い場所や暗闇で転びやすくなることがあり、注意が必要です。
なぜ認知症になると歩き方に変化がみられるのでしょうか?
歩くという行為には、注意機能、遂行機能、空間認識機能など、さまざまな認知機能の協調が必要です。認知症ではこれらの機能が障害されるため、スムーズな歩行が難しくなることがよく見受けられます。これに加えて、認知症の原因疾患によっては、運動を制御する脳の部位が影響を受け、歩行の困難さが増すことになります。

認知症によって歩き方が変化することで生じるリスク

認知症になると歩き方が変化し、転倒や怪我のリスクが高まります。怪我をして治療が必要になると、認知症自体が悪化してしまうことも少なくありません。
歩行変化によるリスクを正しく理解し、適切な対策を立てることが大切です。

認知症によって歩き方が変わることでどのような悪影響がありますか?
認知症患者さんは歩行に障害をきたしやすく、認知症でない高齢者に比べてサルコペニアやフレイルを合併しやすいことが知られています。これにより、転倒リスクが高い状態です。

※サルコペニアとは、筋肉量や筋力の低下によって身体機能が低下した状態を指します。
※フレイルは、加齢により心身の活力が低下し、ストレス耐性も低下することで、身体機能だけでなく精神・心理・社会的にも衰弱した状態です。

結果として、転倒によって大腿骨頚部骨折や脊椎骨折などが生じる可能性があり、日常生活の質が大幅に低下する恐れがあります。認知症の患者さんは、認知症ではない方と比べて、転倒リスクが約8倍、骨折リスクは約3倍高いとされており、特に注意が必要です。
認知症になったら歩かない方がよいのでしょうか。
歩行は筋力を維持し、日常生活の自立度を保つために重要です。歩かなくなると、体力・筋力が急速に低下し、意欲の低下にもつながり、寝たきりになる危険があります。認知症と診断されたからといって歩行を中止する必要はありません。
ただし、転倒や骨折を防ぐために生活環境を整えることが大切です。また、認知症の患者さんは骨粗しょう症による骨折リスクが高いため、骨密度の測定や必要に応じた治療が推奨されます。骨密度検査は、市町村の実施する健診や、かかりつけ医に相談することで受けられます。

認知症の患者さんが転倒しないための対策

高齢者の転倒による骨折は、寝たきりになる主な原因の1つです。転倒は活動範囲や意欲を制限し、意識障害の一種であるせん妄の誘因にもなります。
本章では、認知症患者さんの転倒を防ぐために、日常生活で注意すべき点や靴選びのポイント、歩行練習の方法について解説します。

認知症の患者さんが転倒しないために自宅で気を付けることを教えてください。
足元への注意力が低下しているため、つまずきそうなものは床に置かないようにしましょう。リモコン、電気コード、衣服や書類などが床に散らばらないように気をつけてください。脱げやすい靴は避け、自宅に手すりやスロープの設置を検討しましょう。また、歩行障害の程度に応じて4点杖や歩行器を使用し、体調によっては車椅子を併用することも必要です。
認知症の患者さんにおすすめの靴はありますか?
適切な靴を選ぶことは、安全で快適な歩行に欠かせません。かかとが簡単に脱げてしまうタイプの靴は転倒リスクが高いため避けましょう。かかとが安定し、滑りにくく、薄底で足にフィットする靴を選びましょう。マジックテープで履きやすい靴もおすすめです。
認知症の患者さんはどのような歩行訓練を行えばよいですか?
認知症の方は自発性が低くなることもあるため、散歩やボール転がしなど、レクリエーション要素を取り入れたプログラムが効果的です。歩行訓練を含めた運動療法は、理学療法士や作業療法士がいる病院や施設で受けられます。また、老人保健施設、デイサービス、訪問リハビリテーションなどでも専門的な指導を受けることが可能です。

さらに、サルコペニアやフレイルを予防し効果的な歩行をするために、筋力トレーニング(レジスタンス運動)を並行して行うと効果的です。スクワット、腕立て伏せ、かかと上げ、腹筋運動が代表的な例です。椅子に座った状態で行えるトレーニングも多くあります。個人の体力に合わせて無理のない範囲で継続することが大切です。

認知症の予防に効果的な歩き方

よく歩くことは、認知症の予防に効果的です。定期的なウォーキングを日常生活に取り入れることで、認知症の予防を心がけましょう。本章では、ウォーキングが認知症予防に与える効果と、効果的な歩き方、注意点について解説します。

認知症予防にウォーキングは効果がありますか?
運動不足はアルツハイマー型認知症や血管性認知症など多くの認知症のリスク要因です。そのため、適切な運動習慣が認知症予防には重要です。中でもウォーキングは、どなたでも手軽に取り組みやすく、脳血流を促進して脳を活性化させる効果が期待できる有酸素運動です。
認知症の予防に効果的な歩き方を教えてください。
1つの目標として、1日5,000歩以上歩くことで、認知機能や運動機能の改善が期待されています。また、誰かと会話しながら歩くことも身体機能の維持に効果的です。安全な場所であれば、家族や友人、介助者と話をしながらの歩行訓練もよいでしょう。
認知症予防で歩くときに注意する点を教えてください。
目標は無理のない範囲で設定し、毎日少しでも歩く習慣を続けましょう。ただし、体調がすぐれない日は無理せずに運動を中止し、必要に応じて医療機関を受診してください。
さらに、転倒や交通事故のリスクがあるため、安全な場所を選んで歩きましょう。

地域の体育館やジム、介護施設、病院でトレーニングの指導を受けられる場合もあるので、積極的に利用を検討してみてください。また、認知症以外にも持病がある方は、運動を始める前に主治医に相談しておくと安心です。

まとめ

認知症になると歩行が変化し、これまでよりも日常生活に支障を感じることが増えます。転倒を予防するためには、生活環境を整え、体力を維持することが重要です。また、歩くこと自体が認知症の予防にもつながります。歩行の変化を正しく理解し、安全で無理のない歩行習慣を取り入れることで、より快適な日常を目指しましょう。

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