レクリエーションが認知症にもたらす効果とは?おすすめの方法や取り組み方を解説

レクリエーションが認知症にもたらす効果とは?おすすめの方法や取り組み方を解説

レクリエーションは、認知症の患者さんの脳や身体機能を維持する効果をもたらします。本記事では、レクリエーションの意味や効果、認知症の患者さんにおすすめのレクリエーションを紹介いたします。ぜひご参考にしてください。

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レクリエーションとは?

レクリエーションとは何のことですか?
レクリエーションは、楽しんだりリラックスしたりすることを目的とした活動です。スポーツやアウトドアなどの屋外で身体を使うものから、ボードゲームや楽器の演奏など主に室内で行うものもあります。
 
複数の参加者がコミュニケーションを取りながら活動することで、ストレス解消や人とのつながりを持つ機会にもなります。
レクリエーションは人に幸福感をもたらすきっかけの一つと言えるでしょう。
一般的にレクリエーションでは何を行いますか?
レクリエーションは、カテゴリー別に大きく「スポーツ」「趣味創作」「娯楽」「行楽」に分けられます。具体的には、スポーツだと体操・散歩・ゲートボールなど、趣味創作だと社交ダンスや日本舞踊などの踊り・園芸・楽器の演奏・絵画や絵手紙など、娯楽だとカラオケ・囲碁や将棋など、行楽だと旅行や遠足などが挙げられます。

認知症におけるレクリエーションの効果

認知症の方にレクリエーションはどのような効果をもたらすのか教えてください
レクリエーションにはさまざまな種類のものがあり、いずれも身体的活動や認知的な活動を伴います。その内容により、脳に与える刺激の種類や強さが異なります。これらを組み合わせることで、脳の複合的な機能を維持しやすくなります。

特に、身体を動かす趣味については、全身の筋肉に送る血流量が増えるため、毛細血管の発達や維持につながります。主要な血管だけでなく、末梢の血管にまで血行が保たれることによって、脳への血流量も増加します。結果的に、脳の複合的な働きをより効率的に支えることができます。
認知症と診断されていない方でもレクリエーションは効果がありますか?
レクリエーションは、認知症と診断されていなくても脳の機能を維持しやすくする効果があります。

加齢によって体力の衰えを感じるのと同じように、脳も衰えます。動脈硬化は全身の血管に起こるため、脳の血管もその例外ではありません。また、肌のハリが失われるのと同じように、脳の細胞も加齢による変化がみられます。

レクリエーションは、その内容によって脳の細胞を刺激したり、脳への栄養供給をしやすくしたりします。

認知症と診断されていない方であっても、加齢による変化は当然起こるため、脳の健康維持のためにもレクリエーションをすることをおすすめします。

認知症の患者さん向けレクリエーションの種類

認知症に効果的なレクリエーションにはどのような種類がありますか?
すべての認知症の方に対して、等しく効果的なレクリエーションというものはおそらく存在しません。そして、認知症の発症リスクや進行に影響を与える特定の趣味については、現時点で報告はありません。

しかし、1週間あたりの趣味に使う時間が長いほど認知症発症が低いという研究報告や、趣味の種類の数が4種類までは、増えるにつれて認知症リスクが低下するという研究報告があります。

これらを考慮すると、認知症に効果的なレクリエーションは、気軽に行いやすい内容のものをいくつか組み合わせて、継続的に行うとよいと考えられます。

認知症の方によく行われるレクリエーションには、このようなものがあります。

身体全体を動かす運動散歩、ゲートボール、棒サッカー、風船バレー、リズム体操、ラジオ体操、
手を使う運動後出しじゃんけん、指折り体操、グーチョキパー体操
音楽活動カラオケ大会、コーラス、曲の続きを歌うゲーム、楽器の演奏、音楽鑑賞
手作業や工作、アート折り紙、手芸、工作、ぬり絵、ちぎり絵、園芸

レクリエーションに参加する方の心身の状態に合わせて選択するとよいでしょう。

それぞれのレクリエーションのメリットを教えてください。
散歩やゲートボールなどの身体を動かすものであれば、全身の血液の循環量が増え、脳に循環する血液量も増えます。また、さまざまな刺激に触れることで脳が活性化される部位が増えます。

手芸やぬり絵では、手先の細かい動きの訓練や、作品の全体像を把握することで注意障害の改善につながります。また、手順を考えて行うため、手続き記憶などの活性化につながるはずです。

カラオケやコーラスは喉を使うので、むせやすやの改善を期待できます。

複数人で行うレクリエーションであれば、仲間とのコミュニケーションを楽しめるメリットがあります。
個別で行うレクリエーションであれば、参加者同士のコミュニケーションは少なくなります。しかし、スタッフなどのサポーターがいる場合は、スタッフの声掛けなどでコミュニケーションの機会は増えます。

いずれも、リラックス効果やストレス発散などのメリットは受けやすいはずです。

認知症の患者さんにおすすめのレクリエーション

認知症に特におすすめのレクリエーションを教えてください。
認知症に特におすすめのレクリエーションは、リズム体操です。音楽に合わせて歌いながら、複数の人数で行うと、なおよいでしょう。

身体を動かす、音楽に合わせて動く、歌う、などさまざまな趣味のジャンルの要素を合わせ持っていて、気軽に行えるものだからです。

身体を動かすことで、全身の循環血流量が上がり、脳の血流量を増やすことができます。
音楽に合わせて身体を動かすことで、前頭葉の抑制機能を高めることができます。また、事前に順序が決まっているものであれば、手続き記憶などを活性化させることができます。
さらに、周囲に合わせて歌うことで嚥下機能だけでなく前頭葉や側頭葉の機能を高めます。

複数の方と同時に行うことで、ぶつからないようにして踊ろうと工夫するため、頭頂葉の空間認識能を活性化させることができます。

このほか、視覚や聴覚の刺激にもつながります。

身体機能の低下した方でも、椅子に座って行うなどの工夫することで参加することができます。

このように、身体の動きや五感の多くを使い、脳の複雑な機能を制御しながら行うレクリエーションとなるため、リズム体操は認知症の方に特におすすめのレクリエーションと言えます。
レクリエーションを企画する際に注意するポイントはありますか?
レクリエーションを企画する上で注意すべきポイントは、レクリエーションの内容と運用方法です。

レクリエーションの内容は複数の種類で、週に何度も行えるものがよいでしょう。
レクリエーションの運用については、①参加者の安全を守れるもの、②スタッフの安全を守れるもの、③継続して行えるもの、を考慮するとよいでしょう。

①参加者の安全を守れるもの
認知症の方は、認知症の進行の度合いによってできることの範囲が異なります。また、毎回やることやメンバーが変わると混乱を招いてしまいます。
参加者が安心してレクリエーションに参加するためにも、以下のことに気を付けるとよいでしょう。

・認知症の度合いが近い方同士で行う
・少人数でグループを組む
・内容は曜日で固定をする
・認知症の度合いに合わせた、簡単なルールにする
・参加者が疲れている場合は適宜休憩を入れられるように見守りや声掛けをする

②スタッフの安全を守れるもの
レクリエーションは、参加者の安全を守れるものであると同時に、スタッフの安全を守れるものでなくてはなりません。以下のことに気を付けるとよいでしょう。

・時間に余裕をもって取り組めるもの
・参加者の介助を十分に行えるだけの人員を確保できる内容のもの

③継続して行えるもの
楽しめるもの、気軽に行えるものを選択するとよいでしょう。できれば、何か記憶に残りそうなエピソードがあった場合は写真を残すなどをすると、継続へのモチベーションとなるでしょう。

認知症のレクリエーションを受けたいときは

認知症の集団レクリエーションはどこで受けられますか?
デイサービスや、ショートステイ、介護施設などさまざまな場所で受けることができます。
認知症のレクリエーションを受けたいときに相談する窓口を教えてください。
介護保険認定を受けることができれば、認知症の程度に合わせたサービスの案内や補助を受けることができます。
まずは地域包括支援センターに相談し、ケアマネジャーなどの専門のスタッフの紹介を受けるとよいでしょう。

まとめ

認知症の方にとって、レクリエーションは認知機能の維持や身体機能の維持、コミュニケーションやストレス解消などのさまざまなよい影響を与えるものです。

認知症があっても、いきいきとして彩りのあふれた生活を送れるように、日常生活に取り入れるようにしましょう。

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