認知症の方でも入れる施設や利用可能なサービスなど

認知症の方でも入れる施設や利用可能なサービスなど

認知症の方の介護は、場合によっては自宅での対応が難しくなることもあります。
そんなときに利用を検討したいのがさまざまな施設ですが、認知症の方の施設選びには、さまざまな注意点などもあります。
この記事では、認知症の方が入れる施設や利用可能なサービスについて、それぞれの特徴などを解説します。

認知症の方でも入れる施設

認知症があると老人ホームに入れないことはありますか?
老人ホームとは、一般的に高齢者の方が集団で生活を行う施設全般を指す言葉です。
老人ホームと一口にいっても、実はそのなかにはさまざまな種類の施設があり、大きくわけると民間企業が運営しているものと、公的施設という二種類です。
さらに、民間運営の施設ではサービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホーム、介護付き有料老人ホーム、そしてグループホームという種類があり、公的施設ではケアハウスや介護老人保健施設、と介護医療院、特別養護老人ホーム、軽費老人ホームという種類があります。

老人ホームはそれぞれ受け入れ可能な入居者数にも限界があり、近年は老人ホームへ入居を希望する方も増加している状況にあることから、そもそも入居が難しいという場合や、金銭的に入居ができないといったケースがあります。
また、それ以外にも要介護度や認知症の状態によっては入居が行えない場合があり、施設の種類によって入居条件が異なっています。
認知症がある方でも入居が可能な施設であったとしても、暴言や加害などの症状がある場合は施設に入れないことがあるなど、その症状の状態によっても入居が可能かどうかは異なるため、施設への入居を検討する際には、まず入居条件をしっかり確認し、入居希望者一人ひとりの状況に合わせて、利用可能な施設を探す必要があります。
認知症の方でも入れる施設はどのようなものがありますか?
上記で紹介した施設のうち、認知症があると入れない可能性が高いのは軽費老人ホームやケアハウスで、それ以外の種類の施設については、重度の認知症でない限りは入居が可能です。
ただし、認知症が重度で介護の必要性が大きい場合には、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では入居が断られる可能性もあります。
逆に、グループホームなどでは認知症の診断を受けていることが入居の条件となっていることもあります。
特別養護老人ホームとはなんですか?
特別養護老人ホームは、自宅での生活が困難な、要介護状態の高齢者が入居することができる施設で、特養とも呼ばれます。
老人福祉法によって定義付けされている公的施設で、65歳以上で要介護3以上の方や、40歳から64歳の方で、要介護3以上かつ特定疾病が認められた方、または特例として入居が認められた要介護1~2の方が入居できます。
要介護1~2の方で入所が認められるケースとして、認知症によって日常生活に支障をきたすような症状や行動が見られるといったものがあり、認知症が進行している場合に利用しやすい施設といえるでしょう。
食事の提供や、入浴、排泄などのサポート、居室の清掃や選択、施設医や看護師による健康管理と緊急時の対応、そしてさまざまなレクリエーションやイベントなどが提供され、日常生活を送るための機能を維持、改善させるためのリハビリなども実施されます。
利用にかかる費用は月額10万円から15万円程で、入居時にかかる費用もないため、費用を抑えて施設に入居をしたいという希望者が多い施設で、入居者の枠に空きがなくすぐに入れない可能性もあります。
介護付き有料老人ホームとはなんですか?
介護付き有料老人ホームは、主に民間企業が運営している老人ホームで、一定の設備や人員などを持ち、都道府県により認可を受けている施設です。
特徴としては介護スタッフが24時間常駐していて、身の回りの世話や食事、入浴、排泄などの介助サービスをいつでも受けることが可能で、寝たきりや認知症の方でも入居相談がしやすい施設となっています。
民間企業が運営しているため利用にかかる費用は施設によって大きくことなり、手厚いサービスが受けられる変わりに月額の利用費用が数十万を超えるような施設から、入居の一時金などが不要な手軽に利用しやすい施設までさまざまとなっています。
入居対象者も施設によって異なり、要支援1から要介護5まで、それぞれの施設の方針で入居可能な範囲が異なるので、入居を検討する場合はまずは一度問い合わせてみるとよいでしょう。
なお、施設基準などが近いものが住宅型有料老人ホームですが、その違いは介護サービスの提供体制で、住宅型有料老人ホームの場合は、介護サービスが必要な方は個別で在宅サービス事業者と契約を行う必要があります。
そのため、介護が必要となる重度の認知症の方などの場合、住宅型有料老人ホームへの入居は難しく、介護付き有料老人ホームなら入居ができるというケースもあります。
グループホームとはなんですか?
グループホームは認知症対応型共同生活介護施設ともよばれ、認知症の方がスタッフによる日常生活の支援をうけながら、共同生活を送ることで認知症の緩和を促し、本人らしい生活を再構築する目的の施設となっています。
認知症の方の支援を目的としているため、入居には認知症の認定を受けていることが必要であり、認知症ではない方は入居できません。
入居の条件は要支援2以上の認定をうけた認知症の方で、民間施設ではありますが、介護保険の地域密着サービスに密着しているため、原則として施設がある市区町村に住民票がないと入居が難しいなど、入居条件が厳しいという特徴があります。
認知症は脳への刺激が少ないと進行が早まってしまうため、共同生活によって刺激を受けることで、認知症の進行を遅らせたり、リハビリをしたりといった効果が期待できます。
なお、グループホームは自立した生活を目指す施設のため、手厚い介護などは受けにくく、重度の認知症の方や寝たきりの方など、介護なしでは生活ができないような方の場合は利用ができない場合があります。
サービス付き高齢者向け住宅とはなんですか?
サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者が住みやすいようにバリアフリー設計となっていたり、スタッフによる安否架空人や生活相談などのサービスが利用可能な賃貸住宅で、生活の自由度が高い一方、基本的には自立して生活する必要があります。
ただし、なかには介護サービスがついた施設もあり、こういった施設には認知症の方の介護に対応しているケースもあります。
施設を探す際にはどこに相談すればいいですか?
認知症の方が入居施設を探す場合、まずはその症状の程度などから適切な施設を検討する必要があるため、かかりつけの医師やケアマネジャーに相談してみるとよいでしょう。
ケアマネジャーは市区町村の介護保険課や地域包括支援センターで紹介をうけたり、ハートページという冊子などをもらい、そこから探すというような方法があります。

認知症の方が施設を利用する際の費用軽減制度について

介護保険制度とは何ですか?
介護保険制度は、要介護または要支援状態になった方が、何かしらの介護サービスを利用する際にその費用の一部を保障してもらえるという制度です。
給与の一部からおさめられた介護保険料によって賄われていて、要介護認定を受けることで利用が可能となります。
要介護認定を受けるためにはどうしたらいいですか?
要介護認定は、対象者がどの程度の介護を必要とするかというものを自立、要支援1~2、要介護1~5という8段階で認定するものです。
要介護認定をうけるためにはまず市区町村の役所にて申請を行い、その後、訪問調査や主治医の意見書が作成され、コンピューターによる一次判定と、介護認定審査会による二次判定を経て、要介護認定が決まります。
施設を利用する際の費用軽減制度について教えてください
要介護認定を受けた方は、要介護度に応じて介護サービスを利用する際の費用の一部を介護保険から支給してもらうことが可能です。
介護保険を利用することで自己負担額は合計金額の1~3割に抑えることができるため、例えば特別養護老人ホームに入居する場合、要介護3の方で自己負担が1割であれば、月額21,000円程で利用が可能になります。
要介護度によっても介護保険が負担できる上限金額や、利用可能な施設などが異なるため、認定された介護度に応じた適切な施設を選ぶことが大切です。

施設への入居について

施設への入居待ちが長い場合はどうすればいいですか?
特別養護老人ホームは現在入居待ちが長くなるケースが多く、希望してもなかなか入居できないという状況にあります。
こうした場合、まずはすぐに入居が可能な有料老人ホームを利用したり、短期入所生活介護を利用して生活し、空きが出るのを待つといった方法が考えられます。
ただし、場合によっては入居できるまでの期間がとても長くなるということもありますので、まずは早めに地域包括支援センターなどで相談して、適切な対応方法を検討してみるとよいでしょう。
認知症をもつ本人が入居を望まない場合はどうしたらいいですか?
施設への入居については、本人が入居を望まない場合でも、家族や医療関係者の判断に基づいて入居を決定する強制入所という方法があります。
ただし、強制入所は家族との信頼関係が失われてしまうことや、望まない生活への変化によるストレスで認知症が悪化するなどのリスクもあるため、できれば本人が望む状況で入居へとすすむことが推奨されています。
まずはデイケアサービスなどの利用からはじめ、施設に慣れてから入居の話をすすめるといった手順を踏むなどして、本人が施設への入居を望むようにすることが、理想的といえるでしょう。

編集部まとめ

認知症の方は、自立した生活が可能であればグループホーム、介護が必要であれば特別養護老人ホームなど、一人ひとりの状態にあわせた施設を利用することができます。

施設を利用することで安心感のある生活を送りやすくなり、認知症の進行も防ぎやすくなるなどのメリットがありますので、気になる方は一度ケアマネジャーなどに相談してみてはいかがでしょうか。

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