認知症予防のポイントを紹介!年代別の対策と注意すべき生活習慣を解説

認知症予防のポイントを紹介!年代別の対策と注意すべき生活習慣を解説

認知症とは、何らかの原因によって認知機能が低下してしまう状態のこと。加齢が原因のひとつである認知症は、特に高齢者の発病率が高いのが特徴です。高齢化が進む日本においては、さらに患者数が増えることが予測されています。誰にとっても他人事ではない認知症を予防するにはどうしたらよいのでしょうか。認知症についての概要と、どのような予防をしたらよいのかを解説します。

【認知症の発症リスクに備える】認知機能低下リスクをチェック!

認知症の概要

認知症の概要

日本でも多くの人を悩ませている認知症とはどのようなものなのでしょうか。認知症の原因や種類、もの忘れとの違いについて解説します。

認知症とは

認知症は、さまざまな原因によって脳の神経細胞の働きが徐々に低下し、認知機能が低下した結果、社会生活に支障をきたしている状態のことです。日本でも認知症を発症する患者さんは増えており、2012年の65歳以上の認知症有病者数は462万人でした。高齢者の約7人に1人が認知症を発症していると言われており、今後、高齢化が進むにつれて、認知症の患者さんは増えると予想されています。

認知症の原因

認知症の原因は種類によってさまざまで、原因疾患は100種類以上あるともいわれています。認知症の主な種類ごとの原因について説明します。

アルツハイマー型認知症では、長い時間をかけて脳にアミロイドβやリン酸化タウといった、たんぱく質が溜まることが原因とされています。

血管性認知症では、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害によって引き起こされます。

レビー小体型認知症は、神経細胞にレビー小体と呼ばれるたんぱく質が溜まることが発症の原因です。また、前頭側頭型認知症では、前頭葉と側頭葉の萎縮が原因だといわれています。

認知症の種類と特徴

認知症の種類はさまざまですが、代表的なものは4種類です。このうち、アルツハイマー型認知症と血管性認知症が、全体の約90%を占めています。

まず、全体の約70%を占めているアルツハイマー型認知症です。アルツハイマー型認知症は、短期記憶を司る海馬を中心に脳全体が萎縮する病気です。ゆっくりと進行し、見当識障害、判断力や理解力の低下が起こり、その他には不安状態、うつ状態、暴言などが現れることがあります。

次にあるのが血管性認知症です。このタイプの認知症は、脳卒中を起こした部位の血流が低下によるもので、記憶障害や運動障害、意欲低下、感情コントロールができなくなるといった症状が現れます。脳卒中を起こすたびに症状が進行するのも特徴です。

レビー小体型認知症は、後頭葉への血流低下が原因で発症しますが、脳の萎縮は見られません。パーキンソン病に似た症状が特徴で、手足の筋肉がこわばって動かしにくくなったり、震えが生じたりするほか、幻視や幻聴が見られることがあります。調子がよくなったり悪くなったりを繰り返しながら進行するのが特徴で、特に65歳以上の男性が発症しやすいタイプの認知症です。

前頭側頭型認知症は、行動や人格の変化が顕著になるのが特徴です。社会性や理性を司る前頭葉と、感情や記憶を司る側頭葉が、何らかの原因で萎縮を起こし、脳の機能が正常に働かなくなることで発症します。患者さんは我慢ができない、わがままを通そうと同じ行動を何度も繰り返す所見が見られます。50代から60代で発症するケースがあり、加齢による性格の変化だと勘違いされることもありますが、周囲の人に暴力を振るう危険性もあるため注意が必要です。さらに進行すると意欲が低下し、異常行動や性格変化は目立たなくなりますが、寝たきりになってしまう可能性のある認知症です。

加齢によるもの忘れと認知症の違い

加齢によるもの忘れは、体験したことの一部を忘れることはあっても、すべてを忘れるわけではありません。忘れたことに自覚があるのも特徴です。例えば、朝食をとったことは覚えているが、食べたメニューを忘れてしまうのは、もの忘れといえるでしょう。

一方で、認知症の場合は、体験したことのすべてを忘れてしまいます。初期段階では忘れたとの自覚がありますが、進行するにつれて、忘れたことの自覚もなくなってしまい、日常生活に支障をきたします。朝食をとったこと自体を忘れてしまう場合は、認知症が疑われます。もの忘れは認知症とは異なりますが、もの忘れが認知症の初期症状である可能性もあります。気になる点がある場合は、早めに医療機関で診断を受けることが大切です。

認知症の予防について

認知症の予防について

認知症の予防について解説します。

認知症の予防はできるのか

認知症の予防には、日頃の生活習慣が関連していると考えられています。明確な予防方法が確立されているわけではありませんが、生活習慣の改善などによって、認知症の発症リスクを下げられる可能性があります。

また、認知症を発症した後でも、予防方法を実施することで症状の進行を遅らせることが期待できますので、意識して生活習慣を改善することも大切です。

認知症予防の10ヶ条

公益財団法人認知症予防団体が掲げる認知症予防には、下記のような10ヶ条があります。

・塩分と動物性脂肪を控えたバランスのよい食事を
・適度に運動を行い足腰を丈夫に
・深酒とタバコはやめて規則正しい生活を
・生活習慣病(高血圧、肥満など)の予防・早期発見・治療を
・転倒に気をつけよう 頭の打撲は認知症招く
・興味と好奇心をもつように
・考えをまとめて表現する習慣を
・こまやかな気配りをしたよい付き合いを
・いつも若々しくおしゃれ心を忘れずに
・くよくよしないで明るい気分で生活を

認知症予防は、日頃の生活習慣を整えることが大切です。毎日を生き生きと暮らすことが認知症予防につながるといえるでしょう。

認知症を予防する7つのポイント

認知症を予防する7つのポイント

認知症を予防するために大切な7つのポイントをご紹介します。予防方法は難しいものではなく、日頃の生活で心がけられるものばかりです。若いうちから気を付けておくことで、認知症の発症リスクの低下につながります。

健康的な食生活

認知症の予防としては、まずはバランスの取れた健康的な食生活を心がけましょう。食べ過ぎや間食は控えることがポイントです。過剰な塩分や糖分(炭水化物)、脂質の摂りすぎも注意しましょう。野菜や果物、魚、大豆食品などは、認知症予防に効果があるといわれています。これらを意識して食事するとよいでしょう。

定期的な運動習慣

適度な運動は、脳神経のネットワークに変化を起こして、認知機能の低下を防止するといわれていますので、有酸素運動の習慣を取り入れることがおすすめです。目的地の一駅前で下車して歩く、できるだけ階段を使うといった無理のない範囲で、年齢や体調に合わせた適度な運動が大切です。

対人接触を増やす

コミュニケーションを取ることも認知機能低下を防ぐのに有効です。あいさつや会話を交わすことで、脳が活性化し、認知症予防効果が期待できます。特に高齢になると、社会的に孤立してしまうケースも増えてしまいます。地域の交流会への参加や友人と会ったりするなど、できるだけ人と関わる機会を増やすようにしましょう。

知的行動の趣味を始める

知的活動によって前頭葉が活性化して認知機能低下の予防につながることが期待できます。囲碁や将棋、パズル、ゲームなどは室内でも簡単にできますのでおすすめです。また、趣味を持つことも認知症予防に有効です。65歳以上を対象にした研究報告では、趣味がたくさんある人は、そうでない人に比べて認知症罹患リスクが低いということもわかっています。グラウンドゴルフや旅行、釣りなどのアウトドア活動をはじめ、手工芸やガーデニングなど家でできる趣味もたくさんあるので挑戦してみましょう。

睡眠習慣の改善

十分な睡眠も認知症予防には大切です。脳の毒素は睡眠中に洗い流されるとされており、脳細胞や認知機能の維持にも関係しています。毎日、約7〜8時間の睡眠時間を確保するのが望ましいです。睡眠時間だけでなく良質な睡眠をとることも重要で、寝る前の電子機器の使用、体に合った寝具を選び、寝室の環境を整えるなど、睡眠の質を意識することも大切です。30分以内の昼寝は、認知症予防に効果があるといわれていますので、夜の睡眠に影響が出ない範囲で昼寝をするのもおすすめです。

目や耳の機能維持

目が見えにくい状態や耳が聞こえにくい状態は、外部からの刺激が少なくなり認知機能の低下につながります。視力が落ちると、本やテレビなどを見なくなってしまいますし、聴力の低下はコミュニケーションが困難になり、会話を控えてしまう傾向にあります。外部からの刺激は認知機能の維持には重要なものです。きちんと目や耳が機能していれば、新たに興味や関心が広がる可能性もあります。外界から入ってくる情報をきちんと取り入れられるように、視力に合った眼鏡を作ったり、補聴器を装着したりして、目や耳の機能維持をしましょう。

嗜好品の摂取量を改善

嗜好品のなかでも特にタバコは認知症の発症リスクを高めます。喫煙本数や喫煙歴が長い人は 、認知症の発症リスクが高まる可能性があるとされています。心不全や脳卒中リスクを高めるため禁煙に努めましょう。また、大量にお酒を飲むことでも認知症の発症リスクを高めます。少量の飲酒であれば問題ありませんが、大量飲酒は脳の萎縮の原因になるといわれています。お酒はほどほどに楽しむことが大切です。

年代別の認知症予防方法

年代別の認知症予防方法

認知症は高齢者だけがかかるものではありません。認知症予防は40歳頃から行うとよいとされています。年代別の認知症予防方法をチェックして、日頃から生活に予防法を取り入れましょう。

20〜30代の認知症予防方法

65歳未満で発症する認知症を若年性認知症といい、若い人では、20代や30代で発症した例も稀にあります。令和2年の厚生労働省による若年性認知症実態調査結果において、人口10万人あたりの有病率では、18〜29歳で3.4人、30〜34歳で3.7人、35〜39歳で5.5人という結果でした。頻度は少ないですが、若い世代でも認知症になる可能性はあります。そのような20〜30代の認知症予防方法は、日頃から生活習慣を整えることがポイントです。バランスの取れた食事や運動習慣、脳の活性化を意識すること、肥満などの生活習慣病の予防も大切です。喫煙習慣がある場合は、早めに禁煙に取り組み、若いから大丈夫と思わず、若いうちから生活習慣を整えることが、認知症予防には有効です。

40〜50代の認知症予防方法

もの忘れなど、脳の劣化は40代後半から始まるといわれています。アルツハイマー型の原因物質は、発症の20年前から蓄積していくため、40〜50代こそ本格的に認知症予防を心がけることが大切です。まずは、定期的に健康診断を受けて、認知症やその他の健康リスクを早期発見できるようにしましょう。40歳を過ぎると、動脈硬化のリスクが高まるため、高血圧や肥満を防ぐために、生活習慣の改善を行うとよいでしょう。特に、日常生活に運動を取り入れることがポイントです。エレベーターではなく階段を使う、1駅歩くなど、生活のなかでできるだけ運動量を増やすことを意識しましょう。

60代の認知症予防方法

60代では、運動不足、糖尿病、喫煙による認知症リスクが高まります。運動不足の解消や喫煙など、できることから生活習慣を整えていきましょう。また、生活環境の変化や体が思うように動かないことで、社会的孤立やうつ状態に陥りやすい点にも注意が必要です。太陽を毎日浴びること、ストレスを溜めないことに加え、近所の人とあいさつをする、地域行事やボランティアに参加するなど、意識的に人との交流を増やしましょう。ジョギングや水泳もおすすめです。もの忘れが多くなる年代でもありますが、もの忘れの頻度が増えた、理解力や判断力が低下した、集中力や注意力が落ちたと感じた場合は、認知症の初期症状の可能性もあります。気になる点がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

認知症の予防となる食生活

認知症の予防となる食生活

認知症予防にはバランスの取れた食生活が有効です。認知症予防に効果があるとされる食材をご紹介しますので、積極的に食事に取り入れてみてください。

野菜・果物

野菜や果物には、ビタミンB群、C、E、βカロテンが含まれており、動脈硬化や、アルツハイマー型認知症の原因物質の増加を抑えるといわれています。また、ビタミンCとビタミンEを一緒にとることで抗酸化作用が高まり、脳の活性化も期待できます。

青魚には脳の活性化が期待できるDHAやEPAが含まれています。DHAは脳の構成成分で、特にアルツハイマー型認知症の予防効果があります。EPAは血管を拡張して血行をよくするため、生活習慣病の予防にも効果が期待できるものです。サンマ、サバ、イワシといった青魚を積極的に取るようにしましょう。

大豆食品

大豆に含まれるレシチンは神経伝達物質の原料になります。また、納豆に含まれているナットウキナーゼは、アルツハイマー型認知症の原因物質であるアミロイドβの蓄積を抑制します。血栓を防ぐ効果もあるため、脳梗塞が原因の脳血管性認知症の予防が期待できます。

まとめ

認知症の発症は、原因物質の蓄積によって起きるアルツハイマー型認知症と、脳血管障害によって起きる血管性認知症の2つが原因とされています。次いで、レビー小体型認知症や前頭側頭型認知◊症があります。予防策としては、生活習慣を整えることです。健康的な食生活や運動習慣のほか、コミュニケーションを増やすこと、脳を活性化させる活動をすることも大切です。若い世代もシニア世代も、認知症予防として生活習慣を整えることを意識しましょう。

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